サラウンド勉強会




サラウンド再生の到達点(2)


初稿 050821


日本経済新聞の7月8日の記事、非常に大きなことが書かれています。それは、

「まさかとは思ったが、本当に目の前でピアニストが弾いているような錯覚に陥った。フロントスピーカの奥から、鍵盤一つ一つ、弦の一本一本の位置がわかるほどリアルなのだ」

という部分でしょうか。そうではありますが、現実にはここを理解するのは無理かもしれません。なぜならこれとそっくりの評価は2チャンネルオーディオの評価でも非常によくみるものだからです。

実際にはその「リアルさ」が桁違いなのですが、それは聴かずにイメージするのは難しいと思います。しかしそのあとに書いてある、

「『後ろから音が聴こえるもの』『映画用のもので音楽はピュアオーディオに劣る』と思っていたサラウンドのイメージは誤解だった」

ここはとても重要です。

どのくらい誤解なのか、なぜ誤解が起こるのかはあとで書きますが、とりあえずどんなことが起こっているのか、イメージだけを図でつかんでいただこうと思います。

まず最初に忘れていただきたいのは、「後ろから音が聴こえる」ということです。これから出す図にも残響は書いてありません。

すでに画像でご紹介したとおり、かないまる邸ではサラウンドスピーカはリスニング席より前にあります。つまりはじめからサラウンドを後ろから鳴らそうとは積極的には思っていないのです (実際は後ろまで音は回りますが)。

ではサラウンドスピーカの追加で何が変わるのでしょうか。

それは空間全体のリアリティーです。とりわけフロント空間が充実します。

映画では空間全体に音が広がり、四角い画面でしかないスクリーンを音響で助けていることを何度も書いてきました。

しかし音楽再生のマルチチャンネルで最も重視すべきは、特にフロント方向の充実です。後ろから残響が来るのは、音楽の楽しみの一部にすぎません。

それに対してフロント方向からは音楽の本質がやってきます。つまり直接音がどう聴こえるかが勝負。それが変わるのです。そして到達点を知り、それをめざしてチューニングして行くと、後ろや天井方向からの音はなにもしなくても出てくるものなのです。

-------------
ではフロントに起こる「驚くべき事」とはなんでしょう。

それは一言で言うと「スピーカの向こう側が非常にリアルになる」ということです。スピーカの奥の空間に、楽器がそのまま出現するという感じ。壁があろうが窓があろうが、その奥に楽器が出現するのです。(ただしガラス窓は反射がきついので、カーテン処理くらいはしておくべきです)。

そのへんを説明する前に、日経の記者さんが聴いたディスクをご紹介しましょう。



Beethoven: Piano Sonatas Nos. 21, 23, 26
Mari Kodama CD (2003/10/13) Pentatone
[Hybrid SACD] [IMPORT] 5 186 024

レーベルはペンタトーン。バランスエンジニアは欧州で非常に人気のあるジョンマリさんです。ピアノのソロなので楽器の存在感が誰にも判断できますので、私はデモにセッティングにと、よくかけます。

ちなみに国内での新品価格は3058円ですが、アマゾンの新品ユーズドでアメリカから買えば2000円程度で買えます。このSACDはこの講座で教材としますので、できれば買っておいてください。


もう一枚。いずれ使うことになるので、これもよくデモに使ったものですが、ご紹介しておきましょう。




Rachmaninov: Vespers
Sergey Rachmaninov CD (2003/05/27) PentaTone
[Hybrid SACD] [IMPORT] 5 186 027

こちらは教会でのコーラス録音で、国内価格で2688円です。バランスエンジニアは、華やか傾向のジョンマリさんと、重厚傾向の同僚エルドさんの共同作業で、スケールの大きい濃密なコーラスが再生環境一杯に広がります。


フレーム表示にする (目次がないときクリックしてください)
かないまるのホームページへ